契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
倉田さんは和菓子職人なので、マカロンを作ろうとしていたとは意外だった。
でも、パリの人々に愛されるお菓子に日本酒を忍ばせるなんて粋だし、イベントとしてもすごく盛り上がりそう。
「……ないものは仕方がない。日本の食材が売っている店を探して、代わりになる日本酒を探そう」
「ダメです、社長。……あの酒は、親しい蔵元に特別に譲ってもらった特別な吟醸酒で……こんな海外で代わりが見つかるような物ではありません」
「そうだったのか……」
倉田さんの話を聞くと、彰さんも苦渋の表情になり、二人は黙り込んでしまう。
なんとかならないだろうか。イベントの成功も道重堂の勝利も、食材ひとつで失うなんて嫌だよ……。
私は頭の中の、あらゆる食べ物に関する引き出しを開けて、いい思い付きがないかとじっと考える。
日本酒……お酒……マカロン……。日本文化とフランス文化の融合……。
「あの、倉田さん! 逆の発想……はダメでしょうか」
「逆? 結奈さん、どういうこと?」
不思議そうな彼に、私は自分の考えを順序立てて伝えた。