契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
「やだなぁ。正々堂々と勝負するため、わざとハンデをつけさせてもらったんじゃない。今回うちから出るパティシエは毬亜だ。腕は確かだが、お前たちのところの職人一筋何十年って奴とじゃ、格が違う。可愛い妹のため、こちらに不利な状況を少しだけいじってあげたってだけ。兄の優しさだよ」
「そんな……っ!」
思わず反論しようと声を荒げると、彰さんがそれを制するように私の肩に手を置く。
そして、一歩前に出ると冷静な口調で平川さんに告げた。
「わざわざ平等な勝負にしていただいて、どうもな。それでも道重堂は負けないし、たとえお前と毬亜が相手でも、手を抜いたりしない。毬亜にも、そう伝えておけ」
「……ふん。望むところだよ」
にらみ合う二人の間には、バチバチと火花が散っているよう。
彰さん、変わったな……。前は、平川さんに言われるがままだったのに。
堂々と宣戦布告する彼の姿は、家の中で見る甘い彼とはまた違い、男らしくて惚れ直してしまった。