契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
倉庫を出たあと、彰さんは関係者とともにイベントの最終チェックに追われていた。
一緒にいると邪魔になってしまう私は、会場の入り口付近で今か今かと倉田さんの帰りを待っていた。
やがて、白い調理着の上にダウンをまとった倉田さんが、遠くの方から走ってきた。
彼の手にはしっかりビニールの買い物袋が握られていて、どうやら満足のいく食材が手に入ったようだ。
「倉田さん、お帰りなさい! いいのありました?」
「もちろんだ。楽しみにしていてくれよ?」
親指を立てて自信を示した彼に、ホッと胸をなでおろす。
それにしても、何を買ってきて、何を作るんだろう。
倉田さんを信頼はしていても、vanillaのパティシエを侮ることもできない。
期待半分、不安半分の気持ちを抱えながら、私はまた会場の中へ戻った。