契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
新しい発見にひとり頷きつつ、私は改めて敷地内をぐるっと見渡し彼に笑いかけた。
「でも確かに、この家ならどんなマンションより素敵だと思います」
正直に思ったからそう伝えただけなのに、彰さんは一度立ち止まり、まぶしいものでも見るように目を細めて私を見つめた。
「な、なんでしょう……?」
無言で送られる熱い眼差しに、勝手に鼓動が速くなる。やがて口を開いた彰さんは、薄く笑って語りだした。
「今までに見合いした女たちはみんな、俺がマンション住まいじゃないとわかるとあからさまにがっかりしていた。大手和菓子メーカーの若社長=タワマン高層階住人とでも思っていたんだろう。だから、お前みたいにこの家を気に入ってくれた女は初めてだ」
予想もしなかった言葉に、私は目をしばたかせる。
家がマンションかどうかで態度が変わるって……彰さん本人には興味がないってこと?
彼ほどのハイスペックな男性が車や家などの持ち物を見られてしまうのは仕方ない部分もあるかもしれないけれど、あまりにあからさまだと不愉快に違いない。
そこまで思って、ふと自分にも似た経験があることに気が付き、口を開く。