契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
「……彰さんの気持ち、少しわかります。私、つい最近親や同僚に〝ぽっちゃり限定婚活パーティー〟というのを勧められたんです。でも、私という人間の中身よりぽっちゃり体型の方ばかり見られるんじゃないかって思ったら、行く気なんか起きなくて」
そこまで一気に話してから彼を見ると、ぽかんと気の抜けたような顔をしている。
わ、私ってば、自分では彼と似た経験をしたように思えてつい話しちゃたけど、次元が全く違った……!
急に恥ずかしくなって、熱くなる頬を隠すようにうつむいた。
「結奈」
そのときふと名前を呼ばれ、おずおず顔を上げたら、彰さんは穏やかに微笑んでいた。
「少なくとも俺は、お前の中身を気に入ったから結婚した。たとえ単なる契約としてでも、お前という人間に魅力を感じたんだ」
「彰さん……」
恋愛感情という意味でなくても、自分に魅力があると言ってくれる人がいることに、ほんのり胸が熱を持つ。
「さっき話した見合い相手たちはな、そもそも和菓子に興味のない奴らばかりで、食べたがるのはもっぱら洋菓子。それが好みだというならまだわかるが、SNSに載せる写真のためだとか言われるとな……いやになるだろ、実際」