契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
私は思わず駆け寄って、女の子の前にしゃがみこんだ。
「どうしたの? 迷子になっちゃった?」
「うん……砂遊びしてたら、うちのパラソルどこにあるかわからなくなって」
心細そうに話す女の子を見ていたら、こちらまで胸が痛くなる。家族だって、きっと心配しているはずだ。
「おうちのパラソルは何色?」
「水色と白のしましま」
「じゃあ、一緒にさがそうか」
笑顔で言うと、女の子の表情がようやく安心したものになる。
「……いいの?」
「うん!」
私は女の子にうなずいてから、許可を求めるように彰さんの方を振り返った。
彼もこの子のことが放っておけないらしく、優しい微笑みを浮かべながら、私と同じように女の子のもとへしゃがみ込む。
「よし、肩車してやる。パラソルの柄見るのに、高いほうがいいだろ」
そうして女の子を抱え上げると、長身の彰さんの肩車に女の子はキャッキャとはしゃいだ。
子どもに優しく面倒見のいい、彰さんの意外な一面に胸があたたかくなる。
いつか私たちに子どもができたら、彰さんは素敵なパパになりそうだな……なんて、いくらなんでも気が早すぎるでしょ!
私は浮かびかけた妄想を追い払い、女の子の家族を捜すことに集中するのだった。