契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~

しかし、思った以上に捜索は難航した。〝水色と白のしましま〟パラソルは数が多く、ひとつひとつ中を確認しなければならなかったから。

そして二十分ほど歩いても女の子の家族が見つからず、焦りを感じていた時だった。

「あっ! ママだ!」

女の子が彰さんの頭上で声を上げ、声に気づいた三十代くらいの女性が泣きそうな顔で駆け寄ってくる。

彰さんがしゃがんで女の子を下ろしてやると、一目散にお母さんと思われる女性に向かって走り、ぴょんと飛びついた。

「も~! どこに行ってたのよ芽衣(めい)! 心配してたんだからね!」

「ごめんなさい……でも、あのお姉ちゃんとお兄ちゃんが一緒にさがしてくれたんだよ!」

女の子に指さされ、私たちは女性にぺこりと会釈した。

すると女性は申し訳なさそうに歩み寄ってきて、「なんとお礼を言ったらいいか……」と大げさに頭を下げるので、「いいんです、そんな」とこちらが恐縮してしまった。



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