◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
「僕は無力です。僕が無力なせいで、あなたに悲しい思いをさせてしまいました」
 か細い声ともに、片膝を床につけられる。キザに、というよりは、縋るように。
「ここでお別れしたら、二度と会えなくなる気がする」

 項垂れたまま、震える声で、
「もう君を、離したくありません」
 そう漏らす。

 愛里はどうしたらいいかわからず、固まってしまう。
 
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