上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※


雅に託した手紙には、私の生い立ちと結城課長への気持ちが嘘偽りなく書いてある。私が結城課長と付き合うことを受け入れた理由も……。


どう思われたとしても初めて本気で好きになった人だから本当の私を知ってほしかった。
寂しくないといえば嘘になるけど決して後悔はしていない。


窓の外から遠くの山々が見える。
1ヶ月後には真っ赤になりそう。東京にいた時には見えなかった景色。同じ時間を過ごしているはずなのにここに帰って来てからゆっくりと感じる。


仕事を終えて事務所を出ると陽は落ちていて、都会のように街灯も少ないから余計に暗くなったように思う。
上を向くとたくさんの星が見えた。


東京では見えないかな……。
会いたいなんて思っちゃいけない。
でも……会いたい。


優しい目で見つめてくれた結城課長の顔が浮かんで鼻の奥がツンと痛くなる。

「泣くわけないじゃん!」

自分で決めた事なんだから。
もう結城課長のことで泣いたりしないと決めたんだ。

私はグッと口を結び前を向いて家へと帰った。


夕飯を済ませた後、お風呂からあがって髪を乾かしてるとずいぶん長くなった気がする。
実家に帰って来てから胸下まで伸びていた髪をバッサリ鎖骨下まで切って、ゆるふわウェーブだった毛先にはワンカールの内巻パーマをかけてもらっている。
東京にいた時は結ぶことが多かったけど今は結ばずに下ろしていることが増えた。


明日休みだし美容室行こうかな。
そういえば最近同じ服ばかりかも。ついでに冬服も見に行こう。
鏡に映る自分の姿を見つめながらわたしは明日の予定を考えるていた。



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