上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
「どこに行くんですか?」
ホテルをチェックアウトした後尊さんは私を車に乗せて走り出した。
「亜子の家。あらためて挨拶しなきゃな」
「え⁉︎ 挨拶って何をですか? うちの家族今日忙しくって家に行っても誰もいませんよ」
今日は夜まで忙しいって言ってたし……それに挨拶だなんてまだ家族に何も話してないのに。
どうにかして家に行かないで済む方法を考えていると、ふとある事を思い出した。
「あっ! そうだ、私今日は仕事でここに来たんですけど……。あれ? でもどうして尊さんが待ち合わせの場所にいたんですか?」
運転している尊さんの方を見ると、口元がわずかに動いているのが分かった。
笑ってる?
首を傾げて「尊さん?」ともう一度呼ぶ。
「あはははっ! 今頃気づくのかよ、遅いだろ!」
「え? 何?」
大笑いしてる尊さんは私をチラッと見てはまた笑う。
私変なこと言った?
「種明かしはあとでな」
意味が分からなくて口を尖らせている私を見て、頭を撫でながら尊さんは意味深な言葉を言った。
まだ帰宅ラッシュではない分こんな時に限って家への道のりはとてもスムーズだった。
空いているスペースに止めると車から降りて家を見ると明かりがついている。
夜までいないって言ってたのに。
家の前で立ち止まって何て言おうか考えていると私の横を尊さんはスタスタと歩いて先に行く。
「た、尊さん! 待って!」
「ん? 入らないのか?」
私の止めるのも聞かず尊さんは玄関先のインターホンを押した。
ちょっと待って!
心の準備がまだなのに!