上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
曖昧な想い 〜尊side1〜



連日の出張のせいで、ひさしぶりに自分のベッドで朝を迎えた気がする。

手を伸ばして頭の上で鳴り響いてるアラームを切り、しばらく天井を眺めてた。


「……仕事行くか」


普段会社までは車で行くことが多いが今日はタクシーで向かう。

約2週間、関西支店で立ち上げた新しい部署の応援に行っていた。
関西も人が多いが東京はそれ以上に多い。
タクシーから窓の外を見ながらぼんやりとそんなことを思っていた。


オフィスに入ると左側の席でパソコンを見つめながら真剣な顔をしてる藤井を一瞬見て、そことは逆の方向にある自分のデスクに向かう。


ひさしぶりの出勤のせいか女子社員がやけに目の前に来る。
だが俺の目当ての人物は涼しい横顔をしているだけでなんともそっけない。


わざと話しかけにでも行ってやろうか?
意地悪な考えが頭を過ぎる。

とりあえず上に報告してくるか。
出張先の新部署の経過について作成した資料を手にして俺は上の階に向かった。


大阪支店の新部署はブランディング力を高める為にできたマーケティング部だ。
クライアント先が大きい会社ほどマーケティングは莫大な量となる。その連携がいまいち円滑にいっていないのが少々難点ではあるがやっていくうちに上手くいくだろう。


伸びる分野はさらに伸ばし、伸びない部分をどのようにしていくのかを話し合っているうちに昼食の時間も過ぎ話し合いは同ビルの2階にある蕎麦屋でも続いた。



他所の支店の内容とはいえ携わっている人間達は皆自分の部署のように真剣に考え、意見を言い合いより良い方向性を決めていく。
結局話し合いは延長してしまい遅めの昼食を済ませた俺は、オフィスへ向かう通路を歩いている途中に藤井が出て行くのが見えてそのままあとを追った。


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