上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※


水道の蛇口を捻って水を止め、洗い途中の手を止めてから俯きながら話す。


「あーわかる。 俺も苦手」


てっきり“協調性がないな”と言われるかと思っていたら意外な言葉が降りてきて隣にいる結城課長の顔を見上げていたら彼は更に意外な言葉をかけてきた。


「俺たち気が合うかもな」


先ほどまでの意地悪な顔とはうって変わって両側の口角をふわっと上げて今まで見たことがないくらいの優しい表情で私を見つめてきた。


結城課長が何を言っているのか意味がわからず、ただずっと吸い込まれそうなその黒い瞳から目が離せないでいると私の両頬は彼の両手で優しく包まれていつの間にか私たちはキスをしていた……。


唇を離したあと、思考が追いつかなくてぼぉーっとしてる私を結城課長は優しく抱きしめている。


気づいた時にはあたりはすっかり暗くなっていて頬に当たる風は先ほどより冷たくなっていき徐々に私を冷静にしていく。



異性に抱きしめられるなんていつぶりだろう?なんて考えてみる。
不思議と嫌な気持ちはなくて寧ろ安心できる居心地の良さに私達はしばらくそのままでいた。


そしてこれがきっかけとなって私たちは付き合い始めることになった……。



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