上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
立ちすくんだまま2人を見ているとふと結城課長と目が合ってしまった私は反射的に目を逸らしてしまった。
すると鞄の中で携帯のバイブが鳴っているのに気づいた私は画面も確認せずに慌てて通話ボタンを押した。
とりあえずこの場を離れようと携帯を耳に当てながら足早に歩き出すと、耳元から『おいっ!』と聞き覚えのある声が聞こえて来た。
『おい! 傘もささずにそんなに急いでどこ行くんだ?』
いきなり変なことを言われて早歩きで歩いていた私は思わず足を止めてしまった。
『え? 涼太?』
声の主は涼太だ。
でも涼太は長野にいるはずなのに。
雨は小雨なのでたいしたことはないのだけれど涼太の言葉に私は立ち止まり辺りをキョロキョロと見渡してみる。
『亜子の視野は相変わらず狭いな。 真っ正面見ろ』
私はビルの前を通る大きな道路の向こう側に視線を向けた。
ずいぶん日も長くなってきているが、辺りはすでに薄暗くなってきて正直見えにくい。
『まだわかんないのか? なんなら大きな声で呼んであげてもいいぞ』
『や、やめて! 恥ずかしいでしょ!』
そうは言ってもこのまま見つけることができないと本当にやってしまうのが涼太だ!
私は必死で探そうと車道近くまで行くと涼太の言う通り道路向こう側の歩道よりさらに奥にあるベンチ脇で傘をさして立っていた。
『お! 見つけたな。 とりあえず飯食いに行くからこい!』