恋愛イデアル。
春昼(しゅんちゅう)
春昼(しゅんちゅう)のこと。

「今日は日差しが今ひとつだなあ」とイデアル。

女子高生だ。四月の終わりに。
学校の教室で。

長月遥が答えた。

「五月初頭の寒気でしょうね」

「不思議に思うのだがどうして季節は変化するのだろう?
そして人々はなぜ四季に気づかないのだろう?」

とイデアル。

「その問いは、分かりませんよね」と長月遥。

「しかし毎日観察する、庭の草木の移り変わりなどには、日々を癒やすものがありますよ。
自然に包まれる純粋な喜びとでもいうべきか」と、そう、長月遥がいった。

「だよな。
日本人が自然から疎外されること。
それがあってはならない。
そして、同時にここ水守市もまたそれらの歴史と地理の一点だと思うな」とイデアル。
< 54 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop