365日のラブストーリー
「ねえ、思うんだけどさ、最後のお疲れ会じゃなくてすぐに誘った方が良いんじゃない? 感触良かったなら、特に。神長さんが引き上げる前に、遊びに誘ってもらえるようなルート作っといた方が良いでしょう」

「でも、しつこくしたら嫌がられちゃうかなあって」

「嫌がられないでしょ。片方が『いいかんじだな』って思う時って、相手も同じように思うものよ。どちらかがよっぽど空気読めない人じゃなければ。新入社員に研修してるときとか、思うでしょ? 一緒だって。恋愛だってなんだって、人付き合いの一種なんだから」

 ねえ、と宇美は同意を求めて突然隣席の中年男性に話を振った。どこまで話を聞いていたのかはわからないが、その男性はしきりに頷いている。

「でも神長さんって見かけによらず結構フレンドリーというか、だからきっとあれくらいのことは当たり前なのかな、とか」

「あれくらいって、キス?」
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