365日のラブストーリー
(わたしはそれになんて返事をしたんだっけ。心のつながりが一時だったとしても、一生を満たすほどの深さだったかもしれないとか、添い遂げるだけが答えじゃないとか、そんな風に言った気がする)

 あのとき神長はその言葉をどう受け取っただろう。一時の心のつながりが一生を満たすものだなんて、そんなのは幻想だ。有紗は今だからそう思った。

 恋。それは甘いものでも、尊いものでもない。ひとたびそれを知ると、体中が麻薬に浸されたように、それ以外のことを考えられなくなってしまう。

今日会ったばかりの神長の姿を、声を、何度も思い出そうとしては切なくなるのに、二度と増えない思い出にずっと縋って生きていくなんて、どれほど辛いことだろう。

 有紗は自分に置き換えて想像してみる。不思議と、何度も読んだ小説が、違う物語にさえ見えてくる。

(だめだったら今日で終わりにしようって決めてたのに。そんな風にかんたんに割り切れないよ)
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