365日のラブストーリー
「あのさ、有紗ちゃん。もし体調良くなったらでいいんだけど。日曜日、少しだけでも会えないかな。昨日も今日もこうやって会ってるけど、ぜんぜん時間が足んねーし。嫌がることはもうしない。有紗ちゃんの気持ちが追いつくまで、キスもしない。だから」

 千晃はそこで言葉を切って、見つめてきた。

「……わかりました」
 断ることができずに有紗が微笑みを向けると、千晃は心底ほっとしたのか、脱力したように身体を預けてきた。

 どちらかがいつも我慢しなければならない関係。きっとそれは世間的にはごく当たり前のことなのだ。長年連れ添う夫婦でも、時々に応じて互いに譲り合い、折り合いをつけながら生きていくものだから。

(だけどわたしには、そのバランスがわからないんだ)

 わからなくなると、必ず自分が一歩引いてしまう。相手に我慢をさせたくないからと、自分が耐えればいいと決めていても限界がある。そのことに、身体を壊してやっと気がついた。
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