365日のラブストーリー
「それって、有紗との結婚を考えているっていうこと?」
母は予想通り話を飛躍させてしまった。同棲イコール結婚、今はそんな時代じゃないし、神長は今会社の立ち上げで忙しい。だからこれ以上責任を背負わせるようなことを、口にして欲しくはなかった。
「それはまだ……、だって」言いかけた有紗を遮って、
「もちろん考えています」
その言葉を初めから用意していたかのように、神長は言う。
喜びに顔を綻ばせそうになったが、有紗ははたと彼がここに来る前に言ったことを思い出した。
(あ。まさか、状況によっては嘘をつくかもしれないっていうのは……)
「だめだ、もう我慢がならない」
父は突然椅子から立ち上がり、リビングを出て行ってしまった。
「お父さんっ」
有紗があとを追おうとすると、母がそれを引き留めた。表情に焦りはない。それどころか、母はなぜかおかしさを堪えるように、口元に手を当てている。
「いいのよ、ほっといてあげなさい。どうせすぐ戻ってくるから。……さ、その間にわたしはお昼ごはんの準備の続きでもしようかしら」
オープンキッチンに向かう後ろ姿は上機嫌だ。
母は予想通り話を飛躍させてしまった。同棲イコール結婚、今はそんな時代じゃないし、神長は今会社の立ち上げで忙しい。だからこれ以上責任を背負わせるようなことを、口にして欲しくはなかった。
「それはまだ……、だって」言いかけた有紗を遮って、
「もちろん考えています」
その言葉を初めから用意していたかのように、神長は言う。
喜びに顔を綻ばせそうになったが、有紗ははたと彼がここに来る前に言ったことを思い出した。
(あ。まさか、状況によっては嘘をつくかもしれないっていうのは……)
「だめだ、もう我慢がならない」
父は突然椅子から立ち上がり、リビングを出て行ってしまった。
「お父さんっ」
有紗があとを追おうとすると、母がそれを引き留めた。表情に焦りはない。それどころか、母はなぜかおかしさを堪えるように、口元に手を当てている。
「いいのよ、ほっといてあげなさい。どうせすぐ戻ってくるから。……さ、その間にわたしはお昼ごはんの準備の続きでもしようかしら」
オープンキッチンに向かう後ろ姿は上機嫌だ。