365日のラブストーリー
「よかったら、中にどうぞ。有紗もきています」
 これで中に入ってきたら、さっきまで話していたことが筒抜けだったということになる。

(うちの両親の性格を考えると、聞こえてたとしたら無視できないだろうなあ。だって、廉さんはお客さんだし、外に人がいるってわかって呼びかけてるわけだし)
 しばらくすると控えめなノック音が聞こえてドアが開いた。

「お母さんっ」
 有紗は椅子から立ち上がった。

「盗み聞きする気はなかったんだけど、キッチンに行こうと思ったら声が聞こえてきたから。あなたたち、二人の時はどんな風に話しているのかなーってちょっと気になって」

「お母さん。さっきわたしが言ってたのは、マッサージのことだからね」
「有紗はいったい何を言っているの?」

 母は眉をひそめて首を傾げた。

「一応親の前だったから、ふたりは敬語で話していたのかなって思ったけれど。あなたたちは普段からそのままなのね」
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