365日のラブストーリー
風邪で苦しんでいる心暖のことを考え始めると、有紗の心は落ち着き始めた。あんなに小さな子が頑張っているのに、大人が泣いているわけにはいかない。

(森住さんが心暖ちゃんの部屋から出てくるまでには、必ず笑顔にならなきゃ)
 人はこうやって、自分よりも弱い誰かを守ろうとすることで強くなっていけるのかもしれない。

 五分ほどして、千晃が部屋から出てくると、有紗はすぐに駆け寄った。

「森住さん、心暖ちゃんどうですか」
「熱上がってきた。来てもらったのにごめん、ちょっと俺心暖のそばにいるわ」

「それがいいと思います、きっと不安だろうから」
「あのさ、来てもらったのに悪いんだけど今日は……」

「いえいえ、いいんです。わたしのことは気にしないでください。心暖ちゃん、はやく元気になるといいですね」

 どうにか笑みを取り繕うと、千晃はほっとしたように硬い表情を崩した。
< 86 / 489 >

この作品をシェア

pagetop