365日のラブストーリー
運転席に回り込んで、神長はすぐにエンジンを掛ける。家の住所を伝えると、車はすぐに走り出した。駅に出るまでの見慣れた景色が風のように過ぎ去っていく。
「袋はドアポケットに入れておきましたが、もし気分が悪くなったら言ってください」
「すみません」
父親の運転に比べて、加速とブレーキが緩やかだ。病人を乗せているから揺れに気を遣ってくれているのだろうか。
一人で帰るつもりでいたが、電車で人に押されながら家までたどり着くのは無理だったかもしれない。素直に感謝しながら、横顔に目を向ける。運転中の方が会社で見かけるときよりも、表情がリラックスしているように見える。
整いすぎた顔を正面から見ると、緊張して言葉も出なくなってしまうのだが、横並びのせいなのか、それとも神長がこちらを向くことができないという安心感のせいなのか、有紗の心も落ち着いている。
「袋はドアポケットに入れておきましたが、もし気分が悪くなったら言ってください」
「すみません」
父親の運転に比べて、加速とブレーキが緩やかだ。病人を乗せているから揺れに気を遣ってくれているのだろうか。
一人で帰るつもりでいたが、電車で人に押されながら家までたどり着くのは無理だったかもしれない。素直に感謝しながら、横顔に目を向ける。運転中の方が会社で見かけるときよりも、表情がリラックスしているように見える。
整いすぎた顔を正面から見ると、緊張して言葉も出なくなってしまうのだが、横並びのせいなのか、それとも神長がこちらを向くことができないという安心感のせいなのか、有紗の心も落ち着いている。