ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
雄太はずっとあたしのことを想ってくれていた。


だからこれまで誰からの告白も受けずにいたんだろう。


でもあたしは雄太を振ったんだから、もう雄太の恋人にはなれない。


つまり、いつかはあたし以外の誰かが、雄太の恋人になるということだ。


――ズキン!


息が詰まるような強い痛みが込み上げて、思わず唇を噛んだ。


あたし以外の誰かを一番大切に想う雄太?


ほかの誰かに、心を奪われてしまった雄太?


……嫌。嫌だ。


そんなの、全身が切り刻まれるよりもつらい。想像しただけで苦しくて悲しくて、今にも悲鳴を上げそうになる。


でもただの幼なじみのあたしは、見知らぬ誰かと恋に落ちる雄太を、黙って見ているしかないんだ。


「このままずっと甲斐くんの気持ちを拒否するの? それでいいの? あとで後悔することにならない?」


海莉からの続けざまの問いかけに、なにひとつ答えられなくて、あたしはオロオロと視線を泳がせた。


あたしは、後悔したくなかった。


将来お父さんとお母さんみたいにだけはなりたくなくて、雄太と幼なじみのままでいることを選んだ。
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