ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
しゃくり上げて泣くあたしを、海莉は言葉もないままじっと見つめている。


唇をグッと噛みしめ、眉間に深いシワを寄せて、両手を強く握りしめてずっと考え込んでいる。


しばらくの間、あたしのすすり泣く声だけが、ひと気のない中庭に響いた。


そして海莉が、急になにかを決意したようにピンと背筋を伸ばし、落ち着いた声で宣言する。


「決めた。あたし、たった今から関先輩に告白してくる」


……はい?


あたしは涙でビショ濡れの顔から手を離し、キョトンと海莉を見た。


海莉、今、なんて?


「ということで、ちょっと行ってくるから」


言うなり大股で歩き始めた海莉の腕を、訳もわからないまま慌てて掴んで引っ張った。


「ちょ、海莉。え? なに? どういうこと?」


「だから、あたし今から関先輩に告白しに行くの」


「なんで!?」


引っくり返った声を出すあたしに、海莉は妙に気合いの入った表情で堂々と答えた。


「告白するのに理由がいる? あえて言うなら『関先輩が好きだから』だよ」


「そ、それは前から知ってるけど! そういう問題じゃなくて、あえて問うなら『なぜ今この状況で!?』なんだけど!」
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