クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
「他の可愛い子見つけて下さい。長田さんは大下さんと張り合いだけなんです。負けず嫌いなんでしょう」
あまりにも会話が通じないので強く言うと
「いやマジでお前うるさい」って、長田さんは怖い顔で私を見つめてから、いきなり引き寄せ私の耳を甘噛みする。やばい。ライオンに捕まったガゼル気分で身体が動かない。喰われるっ!
「少し黙れ」
間近に見る長田さんはやはり綺麗な顔をしていた。
「見合いは断ろうと思っていた」
意外な言葉に驚く私。
口調とは裏腹に優しく私から離れてそう言った。
「こっちから断る前に、お前は相手を間違えて楽しそうにLINE交換してた」
「あれは……」
「ムッとした」
「子供っ!」
「玲菜の笑った顔が可愛くて、見てたらいじめて困らせたくなって」
「やっぱり子供」
「女の子に断られたの初めてだったから新鮮で」
「だから気の迷いです。負けず嫌いなだけ」
「うるさい。押し倒すぞ」
そう言われて顔を赤くしてうつむいてしまう。
「俺よりあいつの方が好きなのか?」
寂しそうな声を出し
私の顔から目をそらす。
強がりで俺様なくせに
詰めが甘くてキュンとくるから困ってしまう。