羊かぶり☆ベイベー
何とかして、グッと堪える。
感情が沸き上がったことを覚られても、もうこの際構わない。
潤みかけた視界の中の、汐里の真剣な表情。
その表情に、心配や迷惑をかけてばかりで。
嫌なことから逃げて、後回しにしちゃならない。
それは物凄く勇気が要ることで、心への負担が大きい。
だけど、やっぱり、今までも分かりきっていたけれど、1つ1つ、丁寧に片付けないと。
それらの気掛かりからくる不安が、どんどん膨れ上がっていってしまうから。
相変わらず泣きそうな気持ちで、私は汐里に宣言する。
「今は、まだ頭がこんがらがって、どうしたら良いのか悩んでるけど……彼とのこと、ちゃんと答を出すね」
「うん」
「そうじゃないと、彼の時間も無駄にしちゃうもんね」
「……そう? みさおと一緒に居た時間を、私だったら、そんな風には思わないなぁ」
「……そうだと、良いな」
ユウくんがくれた、全ての始まりの告白。
私が何度も断った、デートのお誘い。
あの女の子が私を悪く言ったときに、庇ってくれたこと。
汐里の言葉から、いろんな彼の姿、数少ない記憶が戻ってくる。
そりゃ、彼から言われた台詞に、嫌だと感じることもあったけれど。
良い印象が多少なりとも残っているのは、彼と一緒に居る時間は、私にとっても決してゼロではなかったからだと思えた。