羊かぶり☆ベイベー



店長は少し勿体振ったあと、また分かりにくい苦笑いを浮かべた。



「あなたと、あなたの彼氏さんとのことです」



思わず、ぎょっとしてしまった。

──店長にも、この話伝わってる?

別に、ここまで良くしてくれる相手に、隠す必要も無いのだが。



「さっき桐也が出て行くときに、言っていたのが気になって」

「あ……」



『彼氏さん。本当に浮気だったのかなぁ』

本当に最悪。

気付かない内に、悩んでる当本人の私じゃなく、吾妻さんの口から伝わってしまってる。

浮気されて、辛かったのは事実だけど。

だけど、ここまでいろんな人たちに言い広められるなんて、ユウくんだって、そこまでされる筋合いは無い。



「店長。そこまで気にしてもらわなくても、大丈夫ですから」



私がそう言うと、何故かしら店長が頷いた。



「はい。そうします」

「……え?」

「気付いてます?」

「な、何を」
< 58 / 252 >

この作品をシェア

pagetop