bitterlips
徹平なんか、完全に目をそらしている。
この男、目力が半端じゃない。
思わず吸い込まれそうだ。
「志咲龍也です。多分1番年上だと思うんだけど?」
そう言った龍也は、俺より2歳上だった。
「ドラム、叩いていいの?」
狭い貸スタジオ内にあるドラムを指さした龍也は、表情を変えずに梓を見る。
「あっ、はい!お願いします」
すると龍也は
おもむろにチェアに座ると
まずは慣らすようにスティックを当てる。
俺は、息を飲んで龍也を見つめる。
何故か俺が緊張する。
そんな俺の心を掻き乱すように
龍也はドラムを叩き出した。
龍也もいろんなテクを入れながら
徹平みたいに、即興で叩いている。