bitterlips
爆音を響かせるバスドラム。
タムもスネアも各シンバルも
スタジオ一杯に鳴る。
「すっげぇ~」
ついさっきまでは
目をそらしていたはずの徹平。
でも、さすがに今は、龍也のドラムを叩く姿に釘づけだ。
「バンドとか、組んでたの?」
徹平は一気に龍也に興味を持って
また、子犬のように
キャンキャンうるさい。
「組んではないよ。趣味」
「趣味でこんなにできるの!?」
「さあ?独学ってやつ?」
龍也はクスッと笑うと
ドラムセットから離れた。
「叩いたけど。どうなの?」
そして、俺の目の前に来た龍也は
年季の入った指輪のモチーフを、くるくると回しはじめた。