愛と呼ぶには幼すぎる。
その後少しして、テツヤが、職員室に行った時、深井さんが退学届出したって話を聞いたと俺に慌てて話に来た。
「もうすぐ俺ら卒業やし、深井さんは成績も良いから学校に残れないか説得するらしいよ?すぐには受理されんのちゃう?」
との事で、俺は気が付いたら依瑠の家の前に立っていた。
ピンポンを押せずにいると、パジャマ姿の依瑠が玄関を開けた。
少し、痩せたようだった。
「もしかして聞いてきてくれたの?退学届の事。」
いつものトーンでそう言った依瑠だったが、俺は長い間依瑠と一緒に居過ぎたから、依瑠が動揺していることはすぐに分かった。
俺は、心臓が潰れそうになりながらも、最後の言葉を押し出した。
「もう、二度と近付かない…俺と関わらなければあんな目には合わないだろうし…もう迷惑かけないから、学校、辞めんなよ…」
泣きそうになる目をこじ開けて、絶対涙なんか垂れないように、ぐっとこらえて吐き出した言葉に、俺より依瑠が先にポロポロと泣き出した。
そのまま、依瑠は玄関先で泣き崩れた。
「そんなこと、言って欲しくない!ダメなの、春來君が隣にいてくれないと、怖くて外に出られないの…!春來君が、好きなの…ずっとずっと、好きなの」
その言葉に、俺は、今まで何をやっていたんだろうと思った。
全部全部、間違ってた。
次の瞬間には、俺は依瑠を抱きしめていた。
「ごめん!俺が間違ってた…俺はまだ子供で、愛してるなんて言えないけど、ずっと俺が依瑠のこと守るから…俺、そんな大人になる、だから、そばにいさせてください…!」
自分から告白したことも無い俺が、初めて口にしたのは、プロポーズみたいな言葉だった。
依瑠は、俺の腕の中で、何回も何回も、頷いた。
俺はその後、毎朝依瑠の家まで迎えに行って、依瑠の手を握って登校した。
暴力団関係者の兄がいるテツヤとも、きっぱり縁を切って、依瑠と毎日勉強した。
依瑠は祖父母に説得され、大学に行くことにした。
俺は頭が悪いから同じとこには行けなくて、介護士の専門学校に通った。
一足先に社会人になった俺は、介護センターに勤め、依瑠の祖父母の面倒もみた。
というか、介護士目指したのは、依瑠が自分の夢を持つのに不安要素を少しでも軽くしたくて、依瑠の祖父母の介護を俺が出来ればな、と思ったからだ。
依瑠は大学で心理学を学び、スクールカウンセラーになった。
自分のように身内から暴力を奮われたり、イジメに悩んだりしている子供達を一人でも救いたいと思ったからだそうだ。
依瑠が社会人二年目になった時、依瑠のおじいさんがもう長くは無いと言われ、結婚式を見せてやりたいと思い結婚。
俺と依瑠は、高校の同級生や先生、そして依瑠の祖父母、俺の両親の前で、生涯の愛を誓った。
依瑠は、深井でも清水でもなく、浅羽 依瑠になった。
その半年後、依瑠のおじいさんが亡くなると同時期に、依瑠のお腹に新しい命が宿った。
男の子で、名前を“啓”と名付けた。
『ハルキ君となら、してもいいよ、セックス。』
衝撃的な一言から始まった恋は、一生涯の愛に変わった。
「なあ、依瑠、」
「ん、何?」
俺は、少しだけ表情の豊かになった妻に、微笑みかけて言うのだ。
「愛してる。」
愛と呼ぶには幼すぎる。ーーーfin
アルファポリスさんで、外伝を書かせていただいております。良ければ足をお運びください。
月雀
「もうすぐ俺ら卒業やし、深井さんは成績も良いから学校に残れないか説得するらしいよ?すぐには受理されんのちゃう?」
との事で、俺は気が付いたら依瑠の家の前に立っていた。
ピンポンを押せずにいると、パジャマ姿の依瑠が玄関を開けた。
少し、痩せたようだった。
「もしかして聞いてきてくれたの?退学届の事。」
いつものトーンでそう言った依瑠だったが、俺は長い間依瑠と一緒に居過ぎたから、依瑠が動揺していることはすぐに分かった。
俺は、心臓が潰れそうになりながらも、最後の言葉を押し出した。
「もう、二度と近付かない…俺と関わらなければあんな目には合わないだろうし…もう迷惑かけないから、学校、辞めんなよ…」
泣きそうになる目をこじ開けて、絶対涙なんか垂れないように、ぐっとこらえて吐き出した言葉に、俺より依瑠が先にポロポロと泣き出した。
そのまま、依瑠は玄関先で泣き崩れた。
「そんなこと、言って欲しくない!ダメなの、春來君が隣にいてくれないと、怖くて外に出られないの…!春來君が、好きなの…ずっとずっと、好きなの」
その言葉に、俺は、今まで何をやっていたんだろうと思った。
全部全部、間違ってた。
次の瞬間には、俺は依瑠を抱きしめていた。
「ごめん!俺が間違ってた…俺はまだ子供で、愛してるなんて言えないけど、ずっと俺が依瑠のこと守るから…俺、そんな大人になる、だから、そばにいさせてください…!」
自分から告白したことも無い俺が、初めて口にしたのは、プロポーズみたいな言葉だった。
依瑠は、俺の腕の中で、何回も何回も、頷いた。
俺はその後、毎朝依瑠の家まで迎えに行って、依瑠の手を握って登校した。
暴力団関係者の兄がいるテツヤとも、きっぱり縁を切って、依瑠と毎日勉強した。
依瑠は祖父母に説得され、大学に行くことにした。
俺は頭が悪いから同じとこには行けなくて、介護士の専門学校に通った。
一足先に社会人になった俺は、介護センターに勤め、依瑠の祖父母の面倒もみた。
というか、介護士目指したのは、依瑠が自分の夢を持つのに不安要素を少しでも軽くしたくて、依瑠の祖父母の介護を俺が出来ればな、と思ったからだ。
依瑠は大学で心理学を学び、スクールカウンセラーになった。
自分のように身内から暴力を奮われたり、イジメに悩んだりしている子供達を一人でも救いたいと思ったからだそうだ。
依瑠が社会人二年目になった時、依瑠のおじいさんがもう長くは無いと言われ、結婚式を見せてやりたいと思い結婚。
俺と依瑠は、高校の同級生や先生、そして依瑠の祖父母、俺の両親の前で、生涯の愛を誓った。
依瑠は、深井でも清水でもなく、浅羽 依瑠になった。
その半年後、依瑠のおじいさんが亡くなると同時期に、依瑠のお腹に新しい命が宿った。
男の子で、名前を“啓”と名付けた。
『ハルキ君となら、してもいいよ、セックス。』
衝撃的な一言から始まった恋は、一生涯の愛に変わった。
「なあ、依瑠、」
「ん、何?」
俺は、少しだけ表情の豊かになった妻に、微笑みかけて言うのだ。
「愛してる。」
愛と呼ぶには幼すぎる。ーーーfin
アルファポリスさんで、外伝を書かせていただいております。良ければ足をお運びください。
月雀

