自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
それを全く使っていないわけではないが、いつもに比べるとかなり少ない。
(足がどうかしたのかしら? いえ、違うわね。足というより、体幹を揺らさないようにしている気がするわ……)
椅子に座っているというのに、イザベルの足は絨毯をしっかりと踏みしめて、体を支える方を重視しているように見える。
そのせいで彼女の演奏は、完璧な仕上がりとは言えないものになってしまっていた。
どこか体の調子が悪いのかと、セシリアは心配する。
けれどもイザベルの肌艶はよく、玄関から応接室まで会話しながら歩いた時も元気そうであったことを思い出し、その考えを否定した。
他の令嬢たちは、なにも疑問に思わないらしく、気持ちよく演奏に聴き入るのみ。
それでセシリアは、気にしないことにした。
(病気や怪我がなく、イザベルが元気なら、なにも問題ないわ……)
演奏が終わると、客席がワッと湧いた。
皆が立ち上がって拍手し、彼女を褒め称える。
「イザベルさん、とても素敵な曲ですわね。わたくし、とても楽しい気持ちになれました」
「この前、我が家に招いたプロのピアニストよりお上手よ。イザベルさんの演奏はいつ聴いても素晴らしいですわ!」
(足がどうかしたのかしら? いえ、違うわね。足というより、体幹を揺らさないようにしている気がするわ……)
椅子に座っているというのに、イザベルの足は絨毯をしっかりと踏みしめて、体を支える方を重視しているように見える。
そのせいで彼女の演奏は、完璧な仕上がりとは言えないものになってしまっていた。
どこか体の調子が悪いのかと、セシリアは心配する。
けれどもイザベルの肌艶はよく、玄関から応接室まで会話しながら歩いた時も元気そうであったことを思い出し、その考えを否定した。
他の令嬢たちは、なにも疑問に思わないらしく、気持ちよく演奏に聴き入るのみ。
それでセシリアは、気にしないことにした。
(病気や怪我がなく、イザベルが元気なら、なにも問題ないわ……)
演奏が終わると、客席がワッと湧いた。
皆が立ち上がって拍手し、彼女を褒め称える。
「イザベルさん、とても素敵な曲ですわね。わたくし、とても楽しい気持ちになれました」
「この前、我が家に招いたプロのピアニストよりお上手よ。イザベルさんの演奏はいつ聴いても素晴らしいですわ!」