自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
「そうだったのですか……。悪事を人助けだと報告した私は確かに、セシリア様の邪魔をしていたようです……」
後悔をにじませたような声で呟いた彼は、「カナール王国の王太子殿下を、お好きではないのですね?」と確認するように問いかけてきた。
セシリアがこっくりと頷けば、右腕に彼の手が触れた。
その温もりに同情的な優しさを感じて、セシリアの胸は掻き乱される。
彼を困らせるばかりだとわかっているのに、苦しい恋心を伝えずにはいられなくなってしまった。
泣きながら振り向いたセシリアは、自らクロードの胸に飛び込んで、叫ぶように告白する。
「クロードさんが好きなんです! あなたに港で助けられたあの時からずっと、今でもお慕いしています。他の男性の妻にはなりたくありません!」
驚いたように息をのんだクロードは、「セシリア様……」と口にした後は、黙り込んでしまった。
縋りつくセシリアを抱きしめるのではなく、拒否するのでもなく、ただ静かに呼吸しているのみである。
しかし、黒い騎士服の胸からは、セシリアと同じくらいに速い鼓動が聞こえていた。
後悔をにじませたような声で呟いた彼は、「カナール王国の王太子殿下を、お好きではないのですね?」と確認するように問いかけてきた。
セシリアがこっくりと頷けば、右腕に彼の手が触れた。
その温もりに同情的な優しさを感じて、セシリアの胸は掻き乱される。
彼を困らせるばかりだとわかっているのに、苦しい恋心を伝えずにはいられなくなってしまった。
泣きながら振り向いたセシリアは、自らクロードの胸に飛び込んで、叫ぶように告白する。
「クロードさんが好きなんです! あなたに港で助けられたあの時からずっと、今でもお慕いしています。他の男性の妻にはなりたくありません!」
驚いたように息をのんだクロードは、「セシリア様……」と口にした後は、黙り込んでしまった。
縋りつくセシリアを抱きしめるのではなく、拒否するのでもなく、ただ静かに呼吸しているのみである。
しかし、黒い騎士服の胸からは、セシリアと同じくらいに速い鼓動が聞こえていた。