自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
数十秒の沈黙の後に、彼はやっと口を開く。
「私は随分とセシリア様を傷つけていたのですね。申し訳ございません……」
その謝罪は、セシリアの望まない結婚話に、協力してしまったことについてだろうか。
それとも、今でも想われていることに、少しも気づけなかった鈍感さを詫びたのかもしれない。
彼女の愛の告白については、「お気持ち、光栄に思います」と真面目な声で答えた彼。
残念ながら、そこには喜んでいるような明るさは感じられなかった。
(恋愛対象に見てくれないことなんて、十三歳で初めて告白した時から、わかっていたわ……)
結婚できる年齢になっても、九歳も年上の彼からすれば、セシリアはあの頃と大して変わらず子供のように見えるのかもしれない。
年齢を抜きしたって、彼女は王女であり、友好国の王太子から求婚されている身である。
告白を受け入れ、恋人関係になるなどと、到底許されないことなのだ。
クロードが光栄だとしか応えられなかったことに、セシリアは納得しており、不満を覚えることはない。
だが、悲しみだけは晴れることなく、新たな涙が頬を濡らしていた。
「私は随分とセシリア様を傷つけていたのですね。申し訳ございません……」
その謝罪は、セシリアの望まない結婚話に、協力してしまったことについてだろうか。
それとも、今でも想われていることに、少しも気づけなかった鈍感さを詫びたのかもしれない。
彼女の愛の告白については、「お気持ち、光栄に思います」と真面目な声で答えた彼。
残念ながら、そこには喜んでいるような明るさは感じられなかった。
(恋愛対象に見てくれないことなんて、十三歳で初めて告白した時から、わかっていたわ……)
結婚できる年齢になっても、九歳も年上の彼からすれば、セシリアはあの頃と大して変わらず子供のように見えるのかもしれない。
年齢を抜きしたって、彼女は王女であり、友好国の王太子から求婚されている身である。
告白を受け入れ、恋人関係になるなどと、到底許されないことなのだ。
クロードが光栄だとしか応えられなかったことに、セシリアは納得しており、不満を覚えることはない。
だが、悲しみだけは晴れることなく、新たな涙が頬を濡らしていた。