自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
涙の枯れ果てたセシリアは、まだ日の高い時刻だというのに、虚ろな目をしてベッドに横になっていた。

礼拝堂でクロードと話したのは、二日前のことである。

『落ち着いたら、私室にお戻りください』とセシリアを置き去りにした彼であったが、五分もしないうちに双子の侍女が駆けつけた。

セシリアが心配で、彼が知らせにいったのだろう。

その優しさに、彼女はまた傷つけられたのであった。


それからは、ほとんど部屋にこもりっぱなしで過ごしている。

両親を心配させたくないので、朝晩の食事は共にしているが、食欲がなく、ほとんど手つかずで残していた。

家庭教師にも、体調不良と連絡し、日課の勉強をさぼっている。


鬱々とした気分で横たわるセシリアに、心配そうに付き添っているのは、カメリーだ。


「セシリア様、気晴らしに庭に出られてはいかがでしょう? レース編みや刺繍も、心の癒しにはいいと思います」


伏しているばかりでは、本当に病気になってしまうのではないかと危惧して、カメリーは提案してくれたのだろう。

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