自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
「お任せください。セシリア様のためでしたら、たとえ火の中、水の中。イケメンじゃない相手にだって色仕掛けしますし、モテない男子とも仕方なくデートしてあげます!」
(さっきの兵士は、デートの話に喜んでいなかったと思うけど、それは指摘しない方がいいかしら……)
見張り台の四方に開いた広い窓には、ガラスがはめ込まれていないので、地上よりやや強めの風が吹き抜けていく。
胡桃色の艶やかな髪をなびかせたセシリアは、ツルリーに渡された望遠鏡を使って西側を覗いた。
半屋外の訓練場では、何十人もの兵士たちがずらりと並び、おもりをつけた剣を素振りしている。
彼らの前を行ったり来たりしているのは指導役の上官で、クロードではない男性であった。
それならばと望遠鏡の先を馬場に向けたら、騎士たちが十人、馬に跨り、バーや板塀を飛び越える訓練をしているようだ。
クロードがその中にいるのではないかと胸を高鳴らせて探すセシリアであったが、ダークブラウンの長い髪を束ねた麗しい騎士団長は見当たらない。
「クロードさんがいないわ……」とセシリアががっかりしていたら、裸眼で全体を見ていたツルリーが、「あっ!」と声をあげた。
「セシリア様、いましたよ。あそこです!」
(さっきの兵士は、デートの話に喜んでいなかったと思うけど、それは指摘しない方がいいかしら……)
見張り台の四方に開いた広い窓には、ガラスがはめ込まれていないので、地上よりやや強めの風が吹き抜けていく。
胡桃色の艶やかな髪をなびかせたセシリアは、ツルリーに渡された望遠鏡を使って西側を覗いた。
半屋外の訓練場では、何十人もの兵士たちがずらりと並び、おもりをつけた剣を素振りしている。
彼らの前を行ったり来たりしているのは指導役の上官で、クロードではない男性であった。
それならばと望遠鏡の先を馬場に向けたら、騎士たちが十人、馬に跨り、バーや板塀を飛び越える訓練をしているようだ。
クロードがその中にいるのではないかと胸を高鳴らせて探すセシリアであったが、ダークブラウンの長い髪を束ねた麗しい騎士団長は見当たらない。
「クロードさんがいないわ……」とセシリアががっかりしていたら、裸眼で全体を見ていたツルリーが、「あっ!」と声をあげた。
「セシリア様、いましたよ。あそこです!」