自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
サルセル王太子の妃として、共に国を守るには、他者を思い遣る心が大切なのだそう。

自分の利益ばかりを考えていては、味方を失い、敵を作ってしまう。

逆に、誰かのためにと考え行動すれば、その者に感謝され、巡り巡って親切がセシリアにも返ってくることだろう。

そのような優しい気持ちの輪が広がれば、それはすなわち、国家の平和と安定に繋がるものだと諭された。


「これも花嫁修行だと思いなさい」と話を締めくくった父親に、「わかりました」と素直な返事をしつつも、セシリアは困っていた。


思い遣りが大切だというのはよくわかり、誰かが困っていれば助けてあげたいとも思う。

それが国家のためになるというのなら、喜び勇んで行動したいほどである。

けれども、人助けをすることと、結婚を結びつけられたら、迷いが生じる。


(他国に嫁ぐのは嫌なのに、王太子妃になるために、前向きに動かなければならないなんて……)


眉尻を下げるセシリア。

娘がそのような思いでいることに気づかない国王は、クスリと笑って勘違いの助言をする。
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