自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
誰かに見つかって、こんな夜中にどこへなにをしに行くのかと問われたら、品評会用の庭を壊しに行こうという悪巧みを、断念しなければならないかもしれない。
慌てた三人が辺りを見回せば、すぐ横の壁際に、白大理石の彫像が飾られていることに気づいた。
眩しげに手をかざして空を見上げている、青年の立像だ。
急いで壁際に寄った三人は、その像の格好を真似て静止し、息を潜める。
前方から来たのは、料理人の服装をした若い男性使用人であった。
料理人は、朝早くから王城で働く何百人もの食事を作らねばならない。
そのため、朝食の仕込み当番の者は、使用人宿舎に帰らずに、厨房の隣の部屋に泊まり込む。
彼がふわっとあくびをしたところを見れば、仮眠中にトイレにでも行きたくなって、起き出したように思われた。
セシリアたちは真剣に彫像のふりをしているが、真っ白ではない服を着ているし、柔らかそうな肌をしていては、無理があるというものだ。
けれども寝ぼけ眼が幸いしてか、料理人の彼はセシリアたちに気づくことなく、前を素通りしていった。
「ドキドキしましたね〜」とツルリーがクスクスと笑って言えば、まだ辺りを警戒しているセシリアが、「静かにしてね。早く外に出ましょう」と壁際を離れ、先立って足を進める。
「セシリア様、走ってはなりません。足音が響きます」と後ろから冷静に注意するのは、カメリーだ。
慌てた三人が辺りを見回せば、すぐ横の壁際に、白大理石の彫像が飾られていることに気づいた。
眩しげに手をかざして空を見上げている、青年の立像だ。
急いで壁際に寄った三人は、その像の格好を真似て静止し、息を潜める。
前方から来たのは、料理人の服装をした若い男性使用人であった。
料理人は、朝早くから王城で働く何百人もの食事を作らねばならない。
そのため、朝食の仕込み当番の者は、使用人宿舎に帰らずに、厨房の隣の部屋に泊まり込む。
彼がふわっとあくびをしたところを見れば、仮眠中にトイレにでも行きたくなって、起き出したように思われた。
セシリアたちは真剣に彫像のふりをしているが、真っ白ではない服を着ているし、柔らかそうな肌をしていては、無理があるというものだ。
けれども寝ぼけ眼が幸いしてか、料理人の彼はセシリアたちに気づくことなく、前を素通りしていった。
「ドキドキしましたね〜」とツルリーがクスクスと笑って言えば、まだ辺りを警戒しているセシリアが、「静かにしてね。早く外に出ましょう」と壁際を離れ、先立って足を進める。
「セシリア様、走ってはなりません。足音が響きます」と後ろから冷静に注意するのは、カメリーだ。