自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
サルセル王太子と大人しく結婚した方がセシリアのためである……というのがカメリーの考えであり、それは今でも変わっていない。

そんな彼女がなぜ、この計画に参加しているのかと言えば、もちろんセシリアに金で買収されたからである。

今回は銀貨三枚では首を横に振られたので、金貨を一枚を差し出した。

すると反対から一転して、『力を合わせて庭を壊しましょう!』と味方になってくれたのだ。


三人は再びコソコソと廊下を進む。

その後は使用人と鉢合わせることもなく、無事に北棟の通用口から外へ出ることに成功した。


今は夜が最も深まる時刻であるが、空には大きな満月が輝いているため、ランプを手にしていなくても視界に不自由さを感じない。

大邸宅の北側の奥は、城壁まで森のような木立が広がっており、左を見れば、森の手前に温室と、先代王妃が建てた離宮が見える。

右側には、使用人宿舎と、兵舎の壁の一部を確認することができた。


セシリアが向かったのは、庭園品評会用に造られた庭で、それは使用人宿舎の横にあった。

そこに足を踏み入れたセシリアは、「近くで見ると結構広いわね……」と感想を呟く。

< 47 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop