自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
杭とロープで五十メートル四方の囲いがなされていて、地面には青々とした芝生が植えられている。

直線的に刈り込まれたツゲの生垣や、低木、初夏を彩る花々が、シンメトリーに配置されていた。

品評会は夜が明けた早朝から始まり、午前中のうちに審査員が、各貴族の屋敷を全て回り、審査するのだと聞いている。

結果発表と表彰式は午後からで、入賞した庭は、それから一週間ほど、一般庶民にも公開されるのだとか。

昨年は確か、ジャルダンではない別の王城庭師が出品し、金賞に輝いていたと、セシリアは記憶していた。


(今年の庭は、昨年に比べると、随分とシンプルね……)


自分なら、もっと趣向を凝らしたいところだと思うセシリアであったが、この庭を改良するわけにいかない。

人助けではなく、庭師のジャルダンに迷惑をかけることが目的であり、庭を壊そうと企んでここにいるのだから。

もしかすると今は、単純な構成の庭が流行りなのかもしれないとも考えた。

セシリアは庭づくりのプロではないので、自分の感性の方が正しいという自信はなかった。

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