自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
品評会のために完成された庭を眺めていると、どこかへ行っていた侍女ふたりが、両腕いっぱいに造園道具を抱えて、後ろから戻ってきた。
「セシリア様、盗んできました〜」と笑顔のツルリーが大きな剪定バサミをチョキチョキと動かせば、「さあ、やりましょう」と真顔のカメリーが、クワとシャベルを武器のように構える。
「え、ええ……」
やる気満々の侍女たちとは逆に、セシリアは胸にチクリとした痛みを感じていた。
庭をじっと眺めていたら、一生懸命にこの庭を造っていたジャルダンの顔が浮かんでくる。
昨日の彼が、早朝から夕暮れまで、ここでひとりで作業していたのを、彼女は廊下の窓から見ていたのだ。
(どうしましょう。庭を壊さなければならないのに、ジャルダンを悲しませたくないとも思ってしまうわ……)
やっぱり人に迷惑をかけるのはやめようかと、気持ちが後ずさりしかけたセシリアであったが、ツルリーに剪定バサミを押しつけられる。
カメリーは、早くもシャベルで、綺麗に植えられた花を掘り起こしていた。
「セシリア様、盗んできました〜」と笑顔のツルリーが大きな剪定バサミをチョキチョキと動かせば、「さあ、やりましょう」と真顔のカメリーが、クワとシャベルを武器のように構える。
「え、ええ……」
やる気満々の侍女たちとは逆に、セシリアは胸にチクリとした痛みを感じていた。
庭をじっと眺めていたら、一生懸命にこの庭を造っていたジャルダンの顔が浮かんでくる。
昨日の彼が、早朝から夕暮れまで、ここでひとりで作業していたのを、彼女は廊下の窓から見ていたのだ。
(どうしましょう。庭を壊さなければならないのに、ジャルダンを悲しませたくないとも思ってしまうわ……)
やっぱり人に迷惑をかけるのはやめようかと、気持ちが後ずさりしかけたセシリアであったが、ツルリーに剪定バサミを押しつけられる。
カメリーは、早くもシャベルで、綺麗に植えられた花を掘り起こしていた。