自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

（そうだわ、ただ切るだけじゃつまらないから、動物の形にしてみようかしら？　庭にウサギが跳ね、猫が昼寝をして、犬が走り回っていたら楽しいもの。まずはウサギから作ってみましょう！）


セシリアは手芸やレース編みが得意で、物を作ることが子供の頃から好きだった。

これまでに庭を造ったことはないけれど、器用な手先と、彼女らしく可愛らしい感性で、見事なウサギが形作られていく。

少し離れた後ろでは、ツルリーがキャッキャとはしゃいで芝生を引っこ抜き、そこに玉砂利を詰めていた。

花壇を飾るために彩色された、ピンクや水色の玉砂利である。


「セシリア様〜、見てください。芝生にハートを描いちゃいました。これはセシリア様のピュアな恋心を表しています。私の心も描きますよ。私は好きな男性が大勢いるので、庭がハートだらけになっちゃいそうですー！」


楽しそうなのはツルリーとセシリアだけではなく、金で買収されて手伝っているカメリーもであった。

カメリーは息を切らして、庭のあちこちを移動している。

もとは種類ごとに整然と植えられていた花を、「遊び心が足りないわ」と言って、無秩序に植え直しているのだ。

それはまるで、ケーキに数種類のベリーを散らしたように華やかであった。