自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
「ジャルダンさん、ええと、その……」
セシリアはなんと声をかけていいのかと迷っている。
悪意をもって庭を壊したことを詫びるべきか、それとも特別賞受賞の運びになったことをお祝いするべきなのか。
すると突然、ジャルダンが膝を落として目の前にひれ伏したので、彼女は目を丸くした。
「セシリア様、先ほどの失礼な言動をどうかお許しください! あなた様は私を助けてくださったというのに、愚かにも非難してしまいました。この度は誠にありがとうございます。感謝してもしきれません!」
「ええっ!?」
まさか感謝されるとは露ほども思っていなかったセシリアが戸惑う中、ジャルダンは涙声で事情を明かす。
それによると、彼は常々、上官にあたる庭師長から才能がないと言われ続けてきたそうだ。
自身にもその自覚はあり、だからこそ人一倍努力してきたつもりである。
しかしながら、後から入った若い庭師に階級も技術もあっさりと抜かされてしまい、最近はやる気さえも失いかけていたのだとか。
そんなジャルダンにハッパをかけるつもりなのか、ひと月ほど前、庭師長からこんな話をされたそうだ。
『何をやっても駄目なお前に、チャンスをやろう。今年の品評会にはお前が出なさい。受賞すればひとつ役職をあげてやる。だが、選外であればクビだ。王城庭師を辞めなさい』
セシリアはなんと声をかけていいのかと迷っている。
悪意をもって庭を壊したことを詫びるべきか、それとも特別賞受賞の運びになったことをお祝いするべきなのか。
すると突然、ジャルダンが膝を落として目の前にひれ伏したので、彼女は目を丸くした。
「セシリア様、先ほどの失礼な言動をどうかお許しください! あなた様は私を助けてくださったというのに、愚かにも非難してしまいました。この度は誠にありがとうございます。感謝してもしきれません!」
「ええっ!?」
まさか感謝されるとは露ほども思っていなかったセシリアが戸惑う中、ジャルダンは涙声で事情を明かす。
それによると、彼は常々、上官にあたる庭師長から才能がないと言われ続けてきたそうだ。
自身にもその自覚はあり、だからこそ人一倍努力してきたつもりである。
しかしながら、後から入った若い庭師に階級も技術もあっさりと抜かされてしまい、最近はやる気さえも失いかけていたのだとか。
そんなジャルダンにハッパをかけるつもりなのか、ひと月ほど前、庭師長からこんな話をされたそうだ。
『何をやっても駄目なお前に、チャンスをやろう。今年の品評会にはお前が出なさい。受賞すればひとつ役職をあげてやる。だが、選外であればクビだ。王城庭師を辞めなさい』