自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
「息子が靴作りへの情熱を取り戻してくれたのですよ! それと言いますのはーー」
今回のセシリアのパンプス製作を担当していたのは、タロンであったらしい。
セシリアが何度もデザイン画を描き直しさせ、理不尽な要求を突きつけたことで、タロンは、自分はまだ靴職人として未熟であると認識を改めたそうだ。
次こそ王女を満足させるパンプスを……と思い、ほとんど寝ずに製作に没頭したこの四週間ほどの間、楽しくて仕方なかったという。
彼の職人魂に再び火が灯り、メラメラと燃え上がったのは、セシリアのおかげであるという話であった。
それまでにこやかに、父親の説明に頷くだけであったタロンが、ウズウズとした面持ちで口を挟む。
「やはり自分には、この道が合っているようです。それを気づかせてくださいました王女殿下には、感謝してもしきれません。ありがとうございました!」
座ったままで勢いよく頭を下げたタロンは、セシリアの困惑に気づくことはない。
顔を上げた彼は、「それでは、今回も作り直しということで、これを持ち帰りましてーー」とパンプスの入った紙箱に手を伸ばした。
それを見たセシリアは、慌てて止める。
今回のセシリアのパンプス製作を担当していたのは、タロンであったらしい。
セシリアが何度もデザイン画を描き直しさせ、理不尽な要求を突きつけたことで、タロンは、自分はまだ靴職人として未熟であると認識を改めたそうだ。
次こそ王女を満足させるパンプスを……と思い、ほとんど寝ずに製作に没頭したこの四週間ほどの間、楽しくて仕方なかったという。
彼の職人魂に再び火が灯り、メラメラと燃え上がったのは、セシリアのおかげであるという話であった。
それまでにこやかに、父親の説明に頷くだけであったタロンが、ウズウズとした面持ちで口を挟む。
「やはり自分には、この道が合っているようです。それを気づかせてくださいました王女殿下には、感謝してもしきれません。ありがとうございました!」
座ったままで勢いよく頭を下げたタロンは、セシリアの困惑に気づくことはない。
顔を上げた彼は、「それでは、今回も作り直しということで、これを持ち帰りましてーー」とパンプスの入った紙箱に手を伸ばした。
それを見たセシリアは、慌てて止める。