自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
ふた月ほど前に、突然、タロンが職人を辞めたいと言いだしたそうだ。
父親が驚いて理由を尋ねると、息子は悪びれずにこう言ったという。
『飽きたんだよ。どんな種類の靴だって、最高のものを作れるようになった。これ以上、親父から学べるものもない。だから宝石職人になろうと思うんだ。ジュエリーのデザインは無限にある。やりがいがありそうだ』
どうやらタロンは、一流の腕前になったと自覚したら、靴作りへの興味や情熱を失ってしまったらしい。
向上心の強い性格ゆえに、これ以上学ぶことのない靴職人よりも、他の仕事をゼロから始めたくなったそうだ。
それがジュエリー職人だという話であった。
そこまでを説明したコルドニエの主人は、辞めると言いだした息子との一悶着を思い出してか、かぶりを振って重たいため息をついた。
けれども、今はもう解決済みの問題であるらしく、すぐに笑みを取り戻すと、明るい声で続きを話しだす。
セシリアと侍女ふたりは、戸惑いの中でそれを聞いているしかなかった。
父親が驚いて理由を尋ねると、息子は悪びれずにこう言ったという。
『飽きたんだよ。どんな種類の靴だって、最高のものを作れるようになった。これ以上、親父から学べるものもない。だから宝石職人になろうと思うんだ。ジュエリーのデザインは無限にある。やりがいがありそうだ』
どうやらタロンは、一流の腕前になったと自覚したら、靴作りへの興味や情熱を失ってしまったらしい。
向上心の強い性格ゆえに、これ以上学ぶことのない靴職人よりも、他の仕事をゼロから始めたくなったそうだ。
それがジュエリー職人だという話であった。
そこまでを説明したコルドニエの主人は、辞めると言いだした息子との一悶着を思い出してか、かぶりを振って重たいため息をついた。
けれども、今はもう解決済みの問題であるらしく、すぐに笑みを取り戻すと、明るい声で続きを話しだす。
セシリアと侍女ふたりは、戸惑いの中でそれを聞いているしかなかった。