初めまして、大好きな人
目を見張った。
私の視界に入り込んできたのは町の全てだった。
自分の住んでいる町が小さく思えていたけれど、
こうして見ると意外と広いんだなぁ。
見渡す限りの素晴らしい景色に目を奪われていると、
尚央が私の手を強く握った。
「本当は夜に来ると明かりがいっぱいついて綺麗なんだけど、
それはお前がもっと大人になってからだな」
「私、こんなところ知らなかった」
「そりゃそうだろ。俺だけの秘密の場所なんだから」
確かに、こんな山奥には誰も来ないだろうな。
尚央はどうして、この場所を知っているんだろう。
いつからこんな景色を見てきたんだろう。
どうして、私に見せてくれたんだろう。
聞きたいことは沢山あったけれど、私は何も言わなかった。
しばらく私はその景色を眺めていて、
あそこが自分の家辺りだとか、
あれが学校だとか
あの辺りは知らないとか尚央と沢山話した。
尚央の生まれ育った場所は
私の住んでいるところからさほど遠くないところらしい。
だからあんなにも「ヴァポーレ」で会うんだ。
変に納得して、そして嬉しかった。
それが何故かは分からないけれど。