初めまして、大好きな人
*
知らない天井。
知らない服を着て、知らないベッドに横たわっている。
これは何?
起き上がって辺りを見回す。
どう見ても知らない部屋だ。
真っ白い部屋の中で一人、
ぽつねんと立ち尽くす私は
ある一冊のノートを目にした。
青い色のノート。
近づいて見てみると、そこには「MEMORe:」と書かれている。
中を開いてみると文字がびっしりと書き込まれていた。
日付が書いてあるから、日記……なのかな。
それに目を通して、私は絶句した。
何?これ。なんの冗談?
弾かれたように立ち上がって部屋を飛び出した。
お父さんとお母さんを呼んで廊下を走る。
すると一人のおじさんが現れて、
私を悲しそうに見つめた。
ノートに書いてあることによるとこの人は「施設長」らしい。
眼鏡の似合うおじさんだ。
施設長は私の肩を掴むと、ゆっくり、ゆっくりと
私の状況を説明してくれた。
どうやら私は、病気らしい。
今まで風邪も引いたことのなかった私が、病気?
しかも、訳の分からない病気だなんて。
前向性健忘には治療法がないらしい。
メモを取るなどして日常生活には
さほど影響もなく過ごせるとかなんとか。
実際、私もノートにメモ(日記)を取っていて、
何の問題もなく生活しているらしかった。
のん気に喫茶店になんか行っちゃってるし。