初めまして、大好きな人





知らない天井。


知らない服を着て、知らないベッドに横たわっている。


これは何?


起き上がって辺りを見回す。


どう見ても知らない部屋だ。


真っ白い部屋の中で一人、
ぽつねんと立ち尽くす私は
ある一冊のノートを目にした。


青い色のノート。


近づいて見てみると、そこには「MEMORe:」と書かれている。


中を開いてみると文字がびっしりと書き込まれていた。


日付が書いてあるから、日記……なのかな。


それに目を通して、私は絶句した。


何?これ。なんの冗談?


弾かれたように立ち上がって部屋を飛び出した。


お父さんとお母さんを呼んで廊下を走る。


すると一人のおじさんが現れて、
私を悲しそうに見つめた。


ノートに書いてあることによるとこの人は「施設長」らしい。


眼鏡の似合うおじさんだ。


施設長は私の肩を掴むと、ゆっくり、ゆっくりと
私の状況を説明してくれた。


どうやら私は、病気らしい。


今まで風邪も引いたことのなかった私が、病気?
しかも、訳の分からない病気だなんて。






前向性健忘には治療法がないらしい。


メモを取るなどして日常生活には
さほど影響もなく過ごせるとかなんとか。


実際、私もノートにメモ(日記)を取っていて、
何の問題もなく生活しているらしかった。


のん気に喫茶店になんか行っちゃってるし。


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