初めまして、大好きな人
とにかく、お父さんとお母さんが
もうこの世にいないっていう事実を受け入れるのには
ちょっと時間が足りなすぎた。
私は大声で泣き喚き、施設長に当たり散らした。
それでも施設長は怒ることなく、私を慰めてくれた。
それでどうにか落ち着いて、部屋の中で考えた。
私は何をするべきなんだろう。
ノートを見てみると、
五日間同じ行動を取っている。
ならば今日の私もきっと、
この通りに行動するべきだと思う。
もしも違う行動を取ってみたりしたら、
混乱して訳が分からなくなりそう。
そう考えると私は、
一生この行動をループするんじゃないだろうか。
着替えて部屋を出ると、施設長が廊下に立っていて、
私を見るとにっこりと微笑んでくれた。
優しそうな人。
さっき私が八つ当たりしたっていうのに、
嫌な顔ひとつせずにこうして迎え入れてくれるなんて。
「お出かけかい?波留ちゃん」
「あ、はい。えっとその、ちょっと」
「じゃあこれ、あげよう」
施設長はにっこり笑って、私の手に
少しのお金を押し込んだ。
手を広げてそのお金を見つめる。
ああ、私の部屋にあった貯金箱のお金は
施設長がくれたものだったのかと知る。
施設長を見つめると、施設長は更に深く笑った。
「行ってらっしゃい。波留ちゃん」
「い、行ってきます」