初めまして、大好きな人
嬉しそうに話す尚央は子どもみたい。
つられて私も笑っていた。
すると尚央が突然真剣な顔つきになって、
私を見つめた。
「お前は笑った顔の方がいいな、波留」
「えっ」
「なあ、昨日のことはちゃんとメモしてたか?」
尚央は、私の持っているノートに目を向けた。
私も頷いて手元のノートを見つめる。
確か山に行ったんだよね。
綺麗だったとかなんとか。
私もその景色を見てみたい。
昨日の私が言うんだ。
きっと素敵な場所だったんだろうな。
あっ、そう言えば漢字……。
「あの、尚央の漢字ってどう書くの?」
「ん?ああ、なんか書くもんある?」
私がペンを差し出すと、尚央は
それを手に取って私のノートの隅に名前を書き出した。
「榎本尚央」すごく綺麗な字だった。
男の人なのに、さすがは大人だ。
綺麗すぎる字を目の当たりにして、
なんだか自分の字が恥ずかしくなった。
「ありがとう」
「嬉しいな。俺のこと書いてくれるなんて」
あなたが書けって言ったんじゃないと思いながら笑う。
尚央も笑うと、つけていた腕時計に目をやった。