初めまして、大好きな人
「よし、出かけるか」
「えっ?」
「どこか行きたいところ、ある?」
「えっと……どこに行くの?」
「それを聞いてんだけど。まぁいっか。
ん~今日は無難に買い物でも行くか」
「買い物?」
「ついてこい」
尚央は私の手を引くと、二人分の伝票を持って席を立った。
女性店員さんが出て来てにこやかに会計をする。
お金を払い終えると、
尚央は私を連れて店を出た。
カランコロンと音を立てて扉が開き、
「ありがとうございましたー」と
店員さんの明るい声が聞こえる。
その声を背に、私と尚央は店の前に立った。
「ねぇ、買い物って?」
「ん?ああ、波留は何が欲しい?」
「欲しいもの?ないよそんなの」
欲しいものと言えば、我儘だけど
もう一度両親との楽しい日々を送りたいっていう願いだけ。
それ以外には何もいらない。
だから私には物欲がない。
私くらいの子どもだったらもっと、
あれが欲しいとかこれが欲しいって言うんだろうな。
可愛くないな。私って。