初めまして、大好きな人



日記を閉じて、ふぅっと息をつく。


頭の中には、尚央の顔が浮かんでいた。


そういえば尚央の写真を撮ってみたらいいんじゃないかしら。


朝起きてこのノートを見るだけじゃなくて、
写真でもあったら整理しやすいと思うんだけれど、どうかな。


尚央、写真撮らせてくれるかな。
恥ずかしがって照れるかもしれない。
案外サラッと撮らせてくれるかも。


ふふっと笑うと、部屋の中に私の笑い声が響いた。


尚央のことを思うと、笑顔がこぼれる。


泣いた分、尚央が笑わせてくれるというのは
本当のことだった。


尚央が、私を笑わせてくれる。


一緒にいない時でも、
私を幸せな気持ちにさせてくれる。


本当に不思議な人。


出会ったばかりなのに、なんだかもっと前から
一緒にいるような感覚になる。


もしも私が普通の女子高生だったら、
今頃尚央と……。


「なんてね」


ははっと自嘲気味に笑って、
頬を両手でパチンと叩く。


そしてベッドに思い切りダイブした。


今日はすごく、いい日だった。


今日見たプラネタリウムも、尚央の言葉たちも、
全部が私の宝物だ。


その宝物は明日にはなくなってしまうものだとしても、
この胸の中に閉じ込めておきたくなるくらい、
私にとってとても重要で嬉しい出来事だったのは確かだった。


たとえ、それを覚えていなくても。




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