初めまして、大好きな人



「波留が、好き、だから……」


尚央の言葉を呟くと、頬に熱が走る。


これは書いておかなければいけないことだよね?


あの「好き」はどういう意味だろう。


友達としての「好き」?
そもそも私は尚央と友達なんだろうか。


私は尚央のなんなんだろう。


この関係は、何と表せばいいんだろう。


尚央はどうして、あんなふうに言ったのかな。


ぐるぐる考えすぎて頭がパンクしそう。


「波留が好きだから」


その言葉をノートに綴る時、手が震えた。


私は一体、何を期待しているのかな。


十七歳と二十三歳。六つも年上のお兄さん。
これが二十歳と二十六歳なら何の問題もないんだと思う。


でも私はまだ未成年。
間違っても私と尚央が恋愛をすることなんてないだろうなと、
心の中で整理して思った。


そう思うと、何故か残念に思う自分がいて、寂しくなった。


膝を抱えて座り、その膝に顔をうずめる。


この感情は何?
私は、もしかしたら、尚央のことが……。


「好き、なの?」


ポツリと呟く。
いや、ないでしょう。


私が尚央を好き?あり得ない。
第一私にはそんな風に恋をしているような余裕はないはず。


だって、病気なんだよ?
一日経ったら忘れちゃうんだよ?
初対面みたいなものなのに、
好きになるっていう感情が生まれたりするものなのかな。


もしもそうなら、それは一過性の熱病に過ぎないもので、
本物の感情じゃない気がする。


そう思うと不安になった。


私はこの先一生、恋なんて出来ないのかもしれない。


だってそうでしょう?
人と出会って恋に落ちるっていう一連の流れが
構築されないんだもの。


そうしたら私はこの先ずっと一人で、
いつか施設を離れたら私には誰もいなくなってしまうじゃない。


そしたら私は誰も愛せず、誰からも愛されずに死んでいくんだ。


そこまで考えると怖くなって、ちょっとだけ泣けてきた。


助けてよ、尚央。
もうすでに、あなたに会いたくて仕方ないの。


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